Mar 25, 2019

Fenwick fiberglass fly rods FF75

Fenwick fiberglass fly rods FF75





Fenwick FF75 のシリアルナンバー"E"番(1964-1965)と"J"番(1969-1970)

どちらも約50年前に作られた、フェンウィック社製のグラスファイバーフライロッドです。
ブランク上に表記されたスペックは、モデルナンバーと長さ、自重は同じですが、
適応ラインの表示が"E"番(1964-1965)が No. 5-6、"J"番(1969-1970)は No. 6 と異なっています。




フェンウイックのフライロッドは1972年から品番が三桁ナンバーになる第三世代へと移行するのですが、その時に7フィート6インチの"FF75"は、5番ライン用の"FF755"と、6番ライン用の"FF756"の2つのモデルに細分化されることになります。

その"FF75"ですが、同じ"FF75"という品番のロッドでも年代によって外観のディティールだけでなくアクションもかなり異なっていました。

"E"番(1964-1965)と"J"番(1969-1970)との外観上のいちばんの違いは、トップガイド以外のガイドの数が7個から8へ個と1個増えたこと、そしてフェラライトフェルールのコミの長さの違いです。


紙テープを巻いている部分までが、メスフェルールに入ります。

写真でわかるように初期モデルの方が後期の物よりもコミがかなり長くなっています。
技術的な進歩でフェルールのコミが短くてもロッドの強度が保てるようになったからだと考えられます。

他にも、フェンウイックのワシのマークのロゴが異なっていたり、グリップの上に巻かれた飾り巻きの糸が太くなったり、ブランクに貼られたデカールが違うしラッピングの色も微妙に異なるなどの違いがあり、グリップ周りもグリップチェックが金属から樹脂へと変わっていたり、リールシートもよく見ると違う物が付いています。
そしてブランク自体の色や光線の透け具合も微妙に異なります。




ロッドのアクションもこの2本では異なっています。

基本的にプログレッシブなアクションなのですが、"E"番と"J"番とを比較すると、前期の"E"番はよりスローなテーパーデザインになっています。言い換えると後期の"J"番は"E"番よりもファースト(先調子)気味なベンディングカーブを持っているということです。

これが‘70年代初期に第三世代の"FF755"や"FF756"に更新されると、よりファースト(先調子)なアクションへと変化していくわけです。
ほぼ同じ長さと番手のモデルが時代の変遷のなかで、アクションはよりファースト方向へと向かっていくというわけですね。

アメリカンのフライロッドは時代が進むのにあわせて徐々にファーストアクション化していくのですが、そのあたりの理由は、ぜひとも設計者のジム・グリーン氏に伺ってみたかったところです。

実際にフライラインを通して振り比べてみると、新しい時代のファーストなロッドよりも、古い時代のスローなアクションを持つロッドの方がキャストフィーリングがよりスムーズに感じられます。
これは古いフェンウイックのロッドをいろいろ使っているうちに気づいていたことで、うすうす想像していたことでもあるのですが、実際にはちょっとした驚きでした。

ロッドのファーストアクション化は、僕にとってはロッドの進歩だとは感じられないということなのですが、その理由もなんとなく想像することが出来ます。
ちょうどこの当時、アメリカではフライフィッシングが爆発的に流行りだした頃で、フライフィッシングをする人の数も急激に増えていきました。その中で道具に求められたものは使いやすさでした。
使うのに技術や経験が必要な物よりも初心者でも簡単に使えるものが開発されていったのです。フライロッドのファーストアクション化は、まさにその流れの中で生まれたものだと思います。
ファーストアクションのフライロッドはルアーを投げるようなやり方で強引に振っても、なんとか使い物になります。まさに、フライラインを投げるわけですね。
そのかわり、ロッドでフライラインをコントロールして、フライラインをスルスルと伸ばしてポイントへフライを運んでいくような振り方には向きません。

昔の古いロッドを使っていておもしろいのは、どうしてこんなアクションになったのかと考えるうちに、このような時代の流れをも感じることができるというところにもあります。
たとえば、最新のクルマやオーディオやカメラが必ずしもおもしろいものではない、ということにも通じるのではないでしょうか。




Feb 5, 2019

Alchemy Dhyana 603 Type 2 "Paul H.Young Style" Custom made by Kuramochi Rod





Alchemy Dhyana 603 Type 2 

"Paul H.Young Style"

Custom made by Kuramochi Rod

6' 3P #2(#1-2-3) LINE 45g


Orvis CFO Ⅱ と合わせてみました。グリップ周りのコンパクトさがよくわかると思います。


Alchemy Dhyana 603 "Type 2" を "Paul H.Young" のイメージ組み立てたものです。
製作はその道の第一人者であるクラモチロッドさんにお願いして、細部はおまかせで組んで頂きました。
トランスルーセントブラウンのコーティングの掛かったブラックのアンサンドブランクがグラファイトロッドのようですが、中味はEグラスクロスのブランクを使ったグラスロッドです。




このロッドは初代ポールヤングに特徴的に見られる「ナローインターバルコルク」のグリップに「縦取りコルク」を使ったリールシートになっています。
このあたりがクラモチロッドさんの「こだわり」ですね。

グリップのサイズは、エンドがリールシートと一体化していますのでアバウトですが約120ミリ、リールシートを合わせても約195ミリで、コンパクトでミニマムなグリップ周りがいかにも初代ポールヤングという雰囲気を漂わせています。




アクションは、フルフレックスのプログレッシブ。
アクションはグラスロッドとしてはシャープで、昔のグラスロッドのようなダルさはまったく感じられません。
ロッドが勝手にキャストしてくれるという感覚のロッドで気難しいところはありません。

適合するラインは2番と3番がベストだと感じますが、フルフレックスのグラスロッドなので適合負荷の範囲は広く、状況に応じて4番ラインも使うことができます。

繊細さという面では Dharma 603 "OIKAWA" に譲りますが、このロッドは非常に扱いやすいロッドで、初めてグラスロッドで2番ラインを使う方にも、一般的な3~4番ラインのグラファイトロッドと同じように扱えると思います。

僕自身は重めなラインを乗せる釣りが好きなので、どちらかといえば3番ラインを多用する渓流用のショートロッドという感じです。
水面へのインパクトやメンディングにはより軽いラインほど効果的なので、実際には釣り場の状況に応じて選択して頂ければいいと思います。
強い風の吹く状況下や重いニンフを使う場合などは4番ラインを使うこともできます。

イメージする釣りは東部の小渓流のブルックトラウトですが、実際には源流域のイワナ釣りということになりますね。

渓流での万能ショートロッドで、重い目のラインを使ってラインスピードを落としてビッグなフライを使うなど、さまざまなフライを使うことができます。
テストでは50アップのニジマスも釣っていますので、源流の大イワナにも十分対応できるロッドです。




パーツ類は「いかにもフライロッド」という伝統的でスタンダードなスタイルのものを使っています。

リールシート周りの金具はクラモチロッドさんの自家製、ワンオフのオリジナル。
すこしでも軽くなるように、できる限り薄く作ってあります。
薄いリングは微妙な弾力性があって、リールフットが緩みにくいというメリットもあります。

お値段ですが、高価なトルザイトガイドではなくスタンダードなスネークガイドを使っていますので、標準仕様のロッドと同じ価格にさせていただきます。

Alchemy Dhyana 603 Type 2 "Paul H.Young Style"
Custom made by Kuramochi Rod
6' 3P #2 LINE (1-2-3 line) 45g
価格:60,000円(本体55,556円+税)
※オリジナルの竿袋が付属します。

※Sold


お問い合わせは下記まで、
alchemytackle@gmail.com











Alchemy Dhyana 603 Type 1 "Orvis '70s Style" Custom made by Kuramochi Rod





Alchemy Dhyana 603 "Type 1"
"Orvis '70s Style"

Custom made by Kuramochi Rod
6' 3P #1(#0-1-2) LINE 41g



Alchemy Dhyana 603 "Type 1" をトラディショナルな「1970年代のオービス」スタイルで作りたくなって、その道の第一人者であるクラモチロッドさんにお願いして、細部はおまかせで組んで頂きました。

トランスルーセントブラウンのコーティングの掛かったブラックのアンサンドブランクがオービスの初期のグラファイトロッドを思い出させるので、そのイメージをオーダーして作ったものです。
一見するとオービスグラファイトですが、中味はEグラスブランクを使ったグラスロッドです。




グリップのサイズは、全長約120ミリ、リールシートを合わせても約200ミリで、コンパクトでミニマムなグリップ周りがいい感じです。




アクションは、フルフレックスのプログレッシブ。
Dharma 603 "OIKAWA" よりアクションは速く、ロッドが勝手にキャストしてくれるという感覚のロッドで気難しいところはありません。
適合するラインは1番と2番がベストだと感じますが、フルフレックスのグラスロッドなので適合負荷の範囲は広く、状況に応じて3番ラインも使うことができます。

繊細さという面では Dharma 603 "OIKAWA" に譲りますが、非常に扱いやすいロッドで初めて軽量ラインを使う方にも一般的な3~4番ラインと同じように扱えると思います。

僕自身は重めなラインを乗せる釣りが好きなので、どちらかといえば2番ラインを多用する渓流用のショートロッドという感じです。
ただ水面へのインパクトやメンディングにはより軽いラインほど効果的なので、実際には釣り場の状況に応じて選択して頂ければいいと思います。
強い風の吹く状況下では、ちょっと強引ですが4番ラインまでなら使うこともできます。

軽いラインを使う小渓流での万能ロッドで、ラインスピードを落としてビッグなフライを使うなど、さまざまなフライを使うことができます。尺クラスにも十分対応できるロッドです。




パーツ類は「いかにもフライロッド」という伝統的でスタンダードなスタイルのものを使っています。

リールシート周りの金具はクラモチロッドさんの自家製、ワンオフのオリジナル。
すこしでも軽くなるように、できる限り薄く作ってあります。
薄いリングは微妙な弾力性があって、リールフットが緩みにくいというメリットもあります。

お値段ですが、高価なトルザイトガイドではなくスタンダードなスネークガイドを使っていますので、標準仕様のロッドと同じ価格にさせていただきます。

Alchemy Dhyana 603 "Type 1""Orvis '70s Style"
Custom made by Kuramochi Rod
6' 3P #1 LINE (0-1-2 line) 41g
価格:60,000円(本体55,556円+税)
※オリジナルの竿袋が付属します。

ただし、限定一本ですので早い者勝ちです、あしからずご了承ください。

お問い合わせは下記まで、
alchemytackle@gmail.com















Feb 4, 2019

Alchemy Dharma 603 "OIKAWA" "Leonard Catskill Style" Custom made by Kuramochi Rod



Alchemy Dharma 603 "OIKAWA"

"Leonard Catskill Style"


Custom made by Kuramochi Rod
6' 3P #1 LINE 40g


Alchemy Dharma 603 "OIKAWA" をトラディショナルな「レナード・キャッツキル」スタイルで作りたくなって、その道(・・・ってどの道だ)の第一人者であるクラモチロッドさんにお願いして、細部はおまかせで組んで頂きました。

トランスルーセントブラウンのブランクカラーが昔のレナードスタイルに似合うんじゃないかと思ったのですが、予想通りかっこよく、いい雰囲気で仕上がりました。




鋳物の CFOⅡを合わせるとこんな感じになります。
グリップのサイズは、全長120ミリ、リールシートを合わせても200ミリで、コンパクトでミニマムなグリップ周りがいいでしょ。
オリジナルのレナード・キャッツキルも(フットがごく薄いリールしか入りませんが)こんな感じです。




アクションは、フルフレックスのプログレッシブ。
1番ラインをラインの重みを感じながらごく普通のラインのように扱えるという、実はかなり驚異的な性能のロッドです。
個人的にはショートロッドとしては市場最良の1番ロッドだと思っています。
そこそこ強い風の吹く状況下では、ちょっと強引ですが3番ラインまでなら使うこともできます。

"OIKAWA" とネーミングしてはいるものの、#12~14程度のスタンダードなサイズのフライも十分扱えますので、渓流のヤマメやアマゴ、イワナにも十分使えます。
ロッドがしなやかなので強引な釣りには向きませんが、尺クラスでもスリリングに遊べます。






パーツ類は「いかにもフライロッド」という伝統的でスタンダードなスタイルのものを使っています。

リールシート周りの金具はクラモチロッドさんの自家製、ワンオフのオリジナル。
すこしでも軽くなるように、できる限り薄く作ってあります。
薄いリングは微妙な弾力性があって、リールフットが緩みにくいというメリットもあります。

お値段ですが、高価なトルザイトガイドではなくスタンダードなスネークガイドを使っていますので、標準仕様のロッドと同じ価格にさせていただきます。

Alchemy Dharma 603 "OIKAWA" "Leonard Catskill Style"Custom made by Kuramochi Rod
6' 3P #1 LINE (00-0-1-2 line) 40g
価格:62,000円(本体57,408円+税)
※オリジナルの竿袋が付属します。

※Sold

お問い合わせは下記まで、
alchemytackle@gmail.com












Feb 3, 2019

Orvis Graphite Rods (Orvis Super Fine Graphite Rods) その2

Orvis Graphite Rods (Orvis Super Fine Graphite Rods)についての続きです。


ロッドチューブの変遷。左が発売当時のもので順にアバウトですが、'90年代、'90年代半ば以降って感じです。
このオービスのグラファイトロッドが発売された当時、1970年代半ばの日本では、フライフィッシングをはじめた人のフライキャスティングの技術はまだまだ初歩的なものでしかありませんでした。
そんな状態で渓流へ釣りにいったわけなので、大部分の人はフライラインをあまり伸ばすことなく、どちらかといえば提灯釣りに近いスタイルで釣りをすることになったのです。

そうすると結果的にロッドの先端だけを使うキャスティングスタイルになってしまいます。
オービスのロッドはロッドの全長にわたって曲がるフルフレックスアクションなので比較的ティップトップが太く、先調子のロッドの方が使いやすいロッドの先端だけを使うような釣りには向きません。
当時の釣り人は、オービスロッドのそのドローンとしたアクションがなんのためのものなのかを理解していなかったのです。それゆえに例えばファーアンドファインという5番ロッドに4番ラインを乗せて渓流釣りをする、なんて感じの釣り方をしていました。

そのような人は当時から先調子だったスコットやセージのグラファイトにサッサと乗り換えていったわけです。そうするうちにいつの間にかオービスのグラファイトはフライロッドとして二流であるという評価が染みついてしまいました。
これはオービスのバンブーロッドについてもいえることなのですが、オービス不遇の時代です。

おまけに日本の実際の釣りの現場では、特殊な釣りや釣り場をのぞけば、遠くまでラインを伸ばすことはめったにありません。特に渓流では10m以内での釣りがほとんどでしょう。そのような釣り場ではフルフレックスのオービスはダルいロッドのままで本領を発揮できないのです。

私たちはオービスロッドの本質に気づかないままだったのでしょうね。
それと同じようなことがアメリカでも起こっていたように感じます。
イマドキのハイモデュラス素材を使った先調子のロッドとは違って「全体的に曲がるロッドは、キャスティングがヘタな人にとっては使いにくいダメなロッド」なのです。

日本人は釣り場でろくな魚が釣れないので(笑)キャスティングに練習にいそしむ人が多くその結果としてキャスティングが上手くなって、多くの人にはこの種のフルフレックスなロッドを使える技術が身に付いていたのです。
しかし、いちど出来上がった価値観『古いオービスはスローでダメなロッド』は崩されることもなく、そのうちにこれらのオービスロッドはタンスの肥やしになったり放出されたりと不遇な目に遭うことになり、中古市場でも安値で取引されるロッドとなりました。

でも、これらのオービスロッドを生まれ変わらせる方法があるのです。
といっても改造をするなんてことではありません。
ただロッドの指定番手より重いラインを使うことです。それも思い切って2番手ほど重いラインを乗せてやる(たとえば1番ラインが指定されているワンウエイトに3番ラインを乗せてみる)と、この一連のスローなアクションのオービスロッドの本質が見えてくると思います。

ただその場合、重いラインを乗せておもいっきりの遠投などを試みるとロッドがぶっ壊れるかもしれないので、実際の釣りに使う距離の範囲で試してくださいね。









Jan 31, 2019

Orvis Graphite Rods (Orvis Super Fine Graphite Rods)




Orvis Graphite Rods

といってもこのシリーズはオービス社で最も最初に作られたグラファイトロッドのシリーズで、素材は1970年代から変わらないレギュラーグラファイト(標準弾性24トンカーボン)が使われています。



時代によってデザインがマイナーチェンジされてきましたが、基本的にはバンブーロッド時代からの伝統的なオービスのフルフレックス・アクションを継承しています。





いちばん上のロッドは‘70年代半ばから’80年代初期のタイプ。
2番目の竿がブランクにフレックスレートが書かれて、オス側のジョイントがツルッとした最終型。

最初の頃はオービス社内でブランクまで作っていたのですが、途中からはよくわかりません。個人的にはブランクは外注、もしかするとロッドビルドまでも外注に変わったかもしれないと考えていますが、ロッドのアクション自体は初期から末期までほとんど変わっていないと思います。なかには「アルミ無垢のロッドチューブに赤いラベルの初期型でないと」といわれる方もいらっしゃいますが、コレクションとしてならともかく、釣りに使うにはほぼ同じではなかと思います。

ただ、僕の経験ではごく初期の物(同社のバンブーより高価でしたから気合いが入っていたのでしょうね)以降のロッドには魚を寄せるときに胴ブレがするものがたまにあるので組み立ての精度やブランクの検品基準が落ちたという可能性は考えることができます。




実は、このシリーズのロッドが凄くいいんですね。もう最近のグラファイトロッドはいらないんじゃないかっていうぐらい使い勝手がいい。
もちろん限界的な性能では、データ的には最新のロッドとは比較にならないとは思います。
ただ、いつもの釣りにそんな限界性能を使う場面なんてそうそうないんですよ、まあ、僕の場合はですけどね。
そうすると、性能的にはちょっと「ゆるめ」のロッドの方が気持ちよく使えるのです。

この種のロッドはそんなに軽くもなく、反発力が強いわけでもありません。
でも、ちょっとしたことでは折れたりしない丈夫さがあります。
その理由は、いわゆるローモデュラスグラファイトが使われているのでグラファイト繊維の反発力がイマドキのハイモデュラス素材とは違いそれほど強くないのでブランクの肉厚があるからです。

もうひとつの特徴は、最近の大半のロッドとは違ってロッド全体が曲がります。
これがいいんですね。
このシリーズのロッドをロッドに記入された指定番手で使うと、まあ別にどうということのない普通の釣竿です。
でも、メーカーの指定番手より1番から2番ほど重いラインを使うとまったく別物に変化するのです。
そう、まるでよくできたバンブーロッドやグラスロッドのようにスロースピードのラインをきれいに最後までコントロールできるのです。
素材の硬さが、フライロッドとしてのツボに入っているのだと思います。

こういう使い方に気づいている人はあまりいないとは思いますが(業界の人は知っていても、売り物がないので話さないでしょうしね)この能力は凄いですよ。
いまなら2万円も出せばネットオークションで手に入りますからね。
僕もロッドメーカーなので、この市場価格はちょっと反則だとは思いますが・・・

ただ、このシリーズ、時の流れのなかでかなりモデルの数が増えたのですが、そのどれもが最高というわけでもないのです。
先調子のものでもない限り、極端なハズレはないですけどね。

自社でグラファイトロッドを創るときには、そのベースにしたいロッドです。
ぶっちゃけ、お金があれば市場に出ているロッドは全部買い占めたいぐらいですね。



Jan 11, 2019

ロッドブランクは真っ直ぐなのか・・・?

軽いラインを使うしなやかなフライロッドを作るようになって、どうしても気にかかることがありました。
それはメーカーから届くブランクがまっすぐではなく曲がってるということです。

写真に撮るとこんな感じです。
ガイドを巻いてロッドに仕立てると、気にならないとは思うのですが・・・
曲がってると言えば、確かに先端部の細いところが曲がっていますね。




僕自身は長年バンブーロッドや竹竿を使っていたのでロッドの多少の曲がりは気にならない、というよりも、竿なんて曲がってるものだろう、それがどうした、なんて思っている方なのでまったく気にしていなかったのですが、
そのブランクを買って頂いたお客様から
「ブランクが曲がっているので交換して欲しい」
というクレームが来るんですよね。

で、在庫しているブランクを見てみると今回発注したブランクには本当に真っ直ぐなモノなんて一本もありません。
さすがに気になったのでメーカーサイドに問い合わせてみると、これでメーカーとしての検品は通っているとのことでした。

それには理由がありました。
グラスロッドのブランクはマンドレルという芯金に樹脂を含浸させたガラス繊維のシートを巻き付け、それを炉で過熱して樹脂を硬化させて作ります。
そして樹脂の硬化後に中心にあるマンドレルを抜いて中空のブランクにするわけですが、その焼成されたブランクが常温にまで冷める過程で収縮するので、どうしてもブランク内部で引っ張り合いが生じて曲がるわけです。

前回発注したブランクは#4~5ライン用のブランクだったので、ブランクを巻くマンドレル(芯金)の直径も大きくグラス素材のブランク肉厚もそれなりにあるわけです。
ところが今回製作をお願いしたブランクは#0~3番ライン用のショートロッドなので、マンドレルは細くそこに巻き付けるグラスブランクも非常に薄いものなのです。
直径が大きくて肉厚なブランクはその冷却過程での引っ張り合いがわりと均等になるのでそれほどの曲がりは生じないのですが、細くて薄いブランクはそれゆえにどうしても曲がりが出てしまうのです。

もちろん、なかには限り無く真っ直ぐに近いという優秀なブランクも混じってはいるのですが、それだけを生かして残りを廃棄するとブランクのコストがとんでもなく高価になってしまいます。ブランク1本に10万も20万も出す人はおそらくいらっしゃらないでしょう。
そんなわけで、メーカーが検品の上出荷したブランクですので多少の曲がりに拘らずにすべて製品にすることにしました。

ここでちょっとした裏話なのですが、大きなメーカーで製作しているロッドはこのブランクの曲がりをわかりにくくするためにスパインを考慮することなしにガイド位置で誤魔化している場合が多いのです。
ブランクが曲がっている方にガイドを並べるとガイドの重さでロッドが曲がっているように見えますからね。

うちの場合はスパインを優先して組み立てるので、曲がりは放置したままです。
特別な料金を2~30万円ほど頂ければ真っ直ぐなブランクをお出ししてもいいのですが、そうなると残りのブランクは売るわけにもいかず廃棄ということになりますよね。
それはどうなんだろうとかなり悩むところなので、買って頂いたお客様におまけとして差し上げることになると思うのですが、考えるのもめんどくさいのでそんなお客様はいないということにしておきます(笑)

このブランクの曲がりにはロッドメーカーもいろいろと対策を考えていたようで、たとえばカスタムロッドの大家である、あのラス・ピークは電熱球を使ってブランクを暖めて曲がりを修正していました。その写真が残っています。
他にもヘアードライヤーを使って暖めて曲がりを直すことも可能ですし、そうされているビルダーさんがいるのも承知しています。

ただ、ロッドブランクに使われている熱硬化エポキシ樹脂を再度暖めて柔らかくして曲げ直すことがロッドにとっていいことなのかどうかには疑問もあります。
このブランクを製作して頂いているメーカーの技術者さんは、強度の問題からそれにはあまり賛成できないようです。
また、夏の高温になった車内にロッドを放置していたらどうなるのだろうという疑問もありますしね。

そんなわけで、ブランクがすこしは曲がっていてもご了承頂きたい、というお話でした。