Feb 3, 2019

Orvis Graphite Rods (Orvis Super Fine Graphite Rods) その2

Orvis Graphite Rods (Orvis Super Fine Graphite Rods)についての続きです。


ロッドチューブの変遷。左が発売当時のもので順にアバウトですが、'90年代、'90年代半ば以降って感じです。
このオービスのグラファイトロッドが発売された当時、1970年代半ばの日本では、フライフィッシングをはじめた人のフライキャスティングの技術はまだまだ初歩的なものでしかありませんでした。
そんな状態で渓流へ釣りにいったわけなので、大部分の人はフライラインをあまり伸ばすことなく、どちらかといえば提灯釣りに近いスタイルで釣りをすることになったのです。

そうすると結果的にロッドの先端だけを使うキャスティングスタイルになってしまいます。
オービスのロッドはロッドの全長にわたって曲がるフルフレックスアクションなので比較的ティップトップが太く、先調子のロッドの方が使いやすいロッドの先端だけを使うような釣りには向きません。
当時の釣り人は、オービスロッドのそのドローンとしたアクションがなんのためのものなのかを理解していなかったのです。それゆえに例えばファーアンドファインという5番ロッドに4番ラインを乗せて渓流釣りをする、なんて感じの釣り方をしていました。

そのような人は当時から先調子だったスコットやセージのグラファイトにサッサと乗り換えていったわけです。そうするうちにいつの間にかオービスのグラファイトはフライロッドとして二流であるという評価が染みついてしまいました。
これはオービスのバンブーロッドについてもいえることなのですが、オービス不遇の時代です。

おまけに日本の実際の釣りの現場では、特殊な釣りや釣り場をのぞけば、遠くまでラインを伸ばすことはめったにありません。特に渓流では10m以内での釣りがほとんどでしょう。そのような釣り場ではフルフレックスのオービスはダルいロッドのままで本領を発揮できないのです。

私たちはオービスロッドの本質に気づかないままだったのでしょうね。
それと同じようなことがアメリカでも起こっていたように感じます。
イマドキのハイモデュラス素材を使った先調子のロッドとは違って「全体的に曲がるロッドは、キャスティングがヘタな人にとっては使いにくいダメなロッド」なのです。

日本人は釣り場でろくな魚が釣れないので(笑)キャスティングに練習にいそしむ人が多くその結果としてキャスティングが上手くなって、多くの人にはこの種のフルフレックスなロッドを使える技術が身に付いていたのです。
しかし、いちど出来上がった価値観『古いオービスはスローでダメなロッド』は崩されることもなく、そのうちにこれらのオービスロッドはタンスの肥やしになったり放出されたりと不遇な目に遭うことになり、中古市場でも安値で取引されるロッドとなりました。

でも、これらのオービスロッドを生まれ変わらせる方法があるのです。
といっても改造をするなんてことではありません。
ただロッドの指定番手より重いラインを使うことです。それも思い切って2番手ほど重いラインを乗せてやる(たとえば1番ラインが指定されているワンウエイトに3番ラインを乗せてみる)と、この一連のスローなアクションのオービスロッドの本質が見えてくると思います。

ただその場合、重いラインを乗せておもいっきりの遠投などを試みるとロッドがぶっ壊れるかもしれないので、実際の釣りに使う距離の範囲で試してくださいね。









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